名教師と伝説の奏者たちが守り続けたヴァイオリンの真髄とは?
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イワモト ヴァイオリン教室のブログへようこそ。
イワモト ヴァイオリン教室では
「正しい音程」 (正確な音程)
「本格的な音色」(美しい音)でヴァイオリンを弾くための
基礎的な演奏技術を大切に指導し
一音いちおん丁寧に
各人の進捗に合わせた課題をレッスンしています。
私のサイトのプロフィールに書いたように
歴史的名教師の鷲見三郎先生と鷲見四郎先生を紹介してくださった平野正雄先生は
ご自身より年上の三郎先生(門弟達は尊敬を込めてこうお呼びします)をスミさん
ご自身より年下の四郎先生(門弟達は尊敬を込めてこうお呼びします)をスミくんと
お呼びになっていました。
そして
かのハイフェッツやエルマンやミルシテインなどの歴史的名奏者を育成した
レオポルト・アウアー先生の高弟であるニコライ・シフェルブラット先生が
四郎先生を指導するのを見て学ばれた三郎先生は、特に指導に早くから携わり
海野義雄先生や原田幸一郎先生を育成され、その門下からは庄司紗矢香さんや
神尾真由子さんが…とキリがありませんが(笑)
そうした経緯もあり
平野先生はよく「基礎はスミさん、演奏はスミくん」つまり
ヴァイオリンの演奏技術に関しては四郎先生に指導を受けなさいと仰っていたため
最初に三郎先生、その後に四郎先生を私に紹介してくださいました。
とはいえ
四郎先生の指導においても、徹底して基礎技術を磨き上げることを基本とされ
それは
ある年の全日本学生音楽コンクールに門下生が出場(もちろん優勝)したときに
全国大会の本選前のリハーサルで、四郎先生はアシスタントとして同行していた私に
「終了時刻の1分前になったら教えて」と依頼されたので、てっきり次にリハーサル
をされる方への気遣いで早めに退場されたいのだと思いつつも、かつていろいろと
お世話になった指揮者のカラヤンさんがいつでも予定時刻の2分前に着くことを
習慣とされていたことから2分前にお声がけ…するのも忘れそうになるくらい
そのリハーサルはものすごいものでした。
というのは
もういよいよ全国大会の本選で、その直前というのに四郎先生は出場する生徒さんに
普段のレッスンのように…というよりも普段のレッスン以上に徹底的にというより
凄まじくテテテテ…徹底的に音程とリズムを追求されていたのです。
はっと我に返ってお声がけしたのが結果として残り1分となると
四郎先生は初めてここで一言「この作品はロマン派だから一拍目でやや弓幅を大きく
ビブラートも少し大きく掛けるといい」とだけ指導され、そのあまりにも壮絶で
徹底的な基礎としての音程とリズムの追求、というよりそれこそが真の基礎であると
他の出場者を圧倒する演奏で示された出来事を私は今でも忘れることができません。
そのように
四郎先生も、やはり三郎先生と同様に基礎技術を重視されていただけでなく
むしろ三郎先生以上に音程に関しては厳密かつ厳格でしたが、その四郎先生から
かつてT朋の卒業試験で、四郎先生がお聴きになっても非の打ちどころが
全くない完璧な音程でヴァイオリンを弾く生徒さんが居たという話を聞きました。
それは
あまりにも完璧な音程で弾いているので、四郎先生が会って話をしたところ
その生徒さんは全く耳が聞こえない方だったというのです。
と書くと
「なまじ耳が聞こえるとそれに慢心してしっかり聴かなくなるということだな」
などと思う方も居るかもしれませんが、決してそういうことではないのです。
ではどういうことかというと
私のサイトのブロフィールでも触れた天才ヴァイオリニストにして純正律の
重要性を訴えられた玉木宏樹氏とのお話の中にそれを紐解く鍵がありました。
それは
イギリスを代表する世界的パーカッショニストのエヴェリン・グレニーさんが
聴覚を失いながらも世界屈指の打楽器奏者としてオーケストラなどとも協演が
できているのは、ステージ上で演奏する際、裸足で足からの振動を感じられて
いるからというものでした。
これについて
裸足で演奏することで足からの振動を感じて聴力の代わりにするとはいえ
オーケストラは一般聴衆でも身体に振動を感じるほどのffばかりの演奏ではなく
それこそ消え入るようなppでの演奏の際にも、グレニーさんが完璧な拍節で
オーケストラと合わせられているのは、「微細な振動、それも横振動よりも
伝わりやすい縦振動を感じ取るとともに、振動の有無というよりも振動の
わずかな揺らぎを感じ取っているに違いない」と玉木氏は話されていました。
つまり
単に振動の有無を聴力の代わりにしているのではなく、振動の揺らぎ、すなわち
私がこのブログで繰り返し使っている表現である「響きの凹凸」を感じ取って
それを聴力の代わりにしていたということであり、既述の完璧な音程で
ヴァイオリンを弾いて四郎先生を驚かせた生徒さんの場合も同様であったと推測でき
そこにヴァイオリンを正しい音程で弾くための方策を垣間見ることができるのです。
(ちなみに
ネット上に遺された『玉木宏樹 日記的雑記帳』で 岩本 と入れて検索してみても
西麻布界隈を散々飲み歩いた記事ばかり表示され(笑)上記の話は出てきません)
ヴァイオリンにおいては、振動の揺らぎである響きの凹凸から最も響くポイントを
見つけることこそがヴァイオリン本来の正しい音程の取り方であり、その最も響く
ポイントを[壺](つぼ ツボ)と表現し、響くポイントの[壺]を見つけることで
開放弦の共鳴音に留まらない総ての音で正しい音程が取れるのです。
例えば
ヴァイオリンの正しい音程の取り方』で詳しく書いたように
D線ファーストポジション1の指の
その音程が僅かに低くてもよく響かず
その音程がさらに低くてもよく響かず
つまり
最もよく響くポイントであることから、正しい音程であり
そのポイントこそが本来の奏法での正しい音程の[壺](つぼ ツボ)であり
さらには
誰もが必ず上達する方法を、誰もが必ず見落としている!?』で書いたように
正しい音程は、響くポイントの[壺]を認識し選択する手法を学ぶことであり
綺麗な音 は、響くポイントの[壺]で奏でることで綺麗な音となるのであり
ビブラートも、既述の[壺]を中心に僅かにずらし響きの濃淡から音を遠達させる
ことから、いずれの場合も、その音が最も響くポイントである[壺](つぼ ツボ)
について学ぶという点は必須で同一なものとなります。
それゆえ
演奏する音数が多い上級者や専門家であるほど、響くポイントの[壺]を学ぶことの
演奏への影響は計り知れないものがあります。
だからこそ
私が知ることが出来た世界的なヴァイオリニスト達の練習方法をみても
その全員が、どのような時も、どのような曲においても、まずは
ゆぅ~~~っくりと、一音いちおん「拍節の[壺]」に向かって音を並べつつ
ユゥ~~~ックリと、一音いちおん「音程の[壺]」を確認しながら弾くという
拍節においても音程においても常に[壺](つぼ ツボ)を意識し目指し確認し
ながら復習っていたのです。
(「拍節の[壺]」については
「音程の[壺]」については
『ヴァイオリンの「弦の寿命」と「正しい音程」“線香花火音感”の正体』
をご覧ください)
そして
世界的名奏者の方々のみならず、私たちもそのように復習うことで
『ヴァイオリン学習者が確実かつ急速に上達する指導を巡る3つの思い』にも
書いたように、「正しい音程」の「美しい音」で「朗々と響く」ようになるので
楽器もどんどん、どんどん、よく鳴るようになり
上記のようなことを書くと
「じゃあ、ヴァイオリンの響くポイントに留意して復習えばいいんだ」ですとか
「じゃあ、ヴァイオリンの音程は響きによく注意して弾けばいいんだ」などと
言い出したり思い込む人が居るかもしれませんが、それは誤解というよりも
生半可な理解でしかありません。
何故なら
ヴァイオリンで正しい音程さえ取れれば、あとは自在に音楽を奏でるだけ♪』
で書いたように
ヴァイオリンの正しい音程の取り方について
「夏休みの間に修得したいです」などと言い出す人や(呆)
「響くポイントを探せばいいんだ」などと早合点してしまう人も稀にいますが(笑)
ヘリコプターの操縦が一朝一夕にできないのと同様に
ヴァイオリンの「よく響くポイント」である[壺]も
短期間で習得できるものでも簡単に習得できるものでもなく訓練が必要だからです。
にもかかわらず
『決定的な誤解!ヴァイオリンの音程は[改善]ではなく[開栓]するもの!』
で書いたように
ヴァイオリンは、その音程を「響くポイントの[壺]で取る」という本来の奏法を
[当然]学び知り奏でる人達によって教えられてきたところ、他の分野と同様、
[当然]とされることは敢えて語られないために、ヴァイオリン愛好者の急増や
教育機関の乱立などにより、そうした[当然]を伝えてもらえなかった学習者が
粗製濫造されてしまいました。
その結果
ヴァイオリンの音程は、開放弦の共鳴音に留まらない総ての音で響きの凹凸から響く
ポイントの[壺](つぼ ツボ)で正しい音程が取れるという本来の奏法が忘れられ
そうした響きの凹凸を聴くことと無関係な、頭の中の音、歌ってみる、左手の形や
このように
「よく響くポイント」の[壺]は、探し求め続ける訓練が必要だからこそ
私の教室には音大生 演奏者 指導者の方へのレッスンというページもあるように
ヴァイオリンを正しい音程で奏でることの大切さに気付いた人達が
趣味で習う一般の方から、音大生(音楽大学生)、演奏者(プロ奏者)、
指導者(ヴァイオリンの先生)を問わず、ヴァイオリン演奏の総てに直結する
ヴァイオリン本来の奏法による音程の取り方を学びに来ているのです。
なかでも
人はとかく自分の経験したことを当然だと思い込む傾向が強いうえに
人はさらに自分の信奉することを絶対だと決め込む傾向が強いことから
はたして、あなたは
音の奥深い輝きと美しい音を響かせることに心を傾けていますか?
まさに
そこには音楽の持つ無限の広がりと美しさが宿ります。
その音の軌跡をたどり、広大な心象に触れ、真の音楽の豊かさを表現できるのは
よろしければ、こちらもご覧ください。
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カテゴリ: 指導