ヴァイオリンの重音の音階(スケール)練習 ~その3~

ヴァイオリンの“音程”で単音は[重音は[差音]で定まり

ヴァイオリンの“音程”を取る前提となるのが“リズム”であり   

そのありさまはまるで“二丁拳銃”を彷彿とさせるものなのです

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このブログの

 『『学問に王道あり』 ヴァイオリンの練習と演奏における「近道」と「正統」

 で書いたように

 インターネットの普及により、長年の叡智を学んでいない、あるいは知らない

 ような人でも、自由に簡単に情報発信が可能な時代になったこと

 インターネットの時代になってからの考え方を開陳した情報が溢れかえることになり

 インターネット時代になる前からの専門家の叡智は知られ難くなってしまいました。

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その結果

 『決定的な誤解!ヴァイオリンの音程は[改善]ではなく[開栓]するもの!

 で書いたように

 ヴァイオリンは、その音程を「響くポイントの[壺]で取る」という本来の奏法を

 [当然]学び知り奏でる人達によって教えられてきたところ、他の分野と同様、

 [当然]とされることは敢えて語られないために、ヴァイオリン愛好者の急増や

 教育機関の乱立などにより、そうした[当然]を伝えてもらえなかった学習者が

 粗製濫造されてしまいました。

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そして

 ヴァイオリン音程は、開放弦の共鳴音に留まらない総ての音で響きの凹凸から響く

 ポイントの[](つぼ ツボ)で正しい音程が取れるという本来奏法が忘れられ

 そうした響きの凹凸が測れないチューナーで音程を取ってみたり

 そうした響きの凹凸を聴くことと無関係な、頭の中の音、歌ってみる、左手

 姿勢を直す、ピアノを叩いて音程を取る、などのやり方が蔓延してしまいました。

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けれども

 『ヴァイオリンで、

  誰もが必ず上達する方法を、誰もが必ず見落としている!?』で書いたように

 「ヴァイオリンを正しい音程で弾けるようになりたい」

 「ヴァイオリンを綺麗な音で奏でたい」

 「ビブラート正しい掛け方を学びたい」はそれぞれ別の目的と捉えられますが、

 正しい音程は、響くポイントの[]を認識し選択する手法を学ぶことであり

 綺麗な音 は、響くポイントの[]で奏でることで綺麗な音となるのであり

 ビブラートも、既述の[]を中心に僅かにずらし響きの濃淡から音を遠達させる

 ことから、いずれの場合も、その音が最も響くポイントである[](つぼ ツボ

 について学ぶという点は必須で同一なものとなるのです。

さらに

 『ヴァイオリン史上初!更なる響き!

  これしかないファインチューナーを用いる驚異のDSE』でも書いたように

 ヴァイオリンの重音の音程を定める[差音]では、重音として奏でる二音の響きが

 ヴァイオリンの単音の音程を定める[壺]の方は、響きの凹凸を探す一音の響きが

 より一層豊かであればあるほどその[差音]も[]もわかりやすくなるとともに

 ヴァイオリン本来奏法としての[差音]や[]で奏でれば奏でるほどさらに

 より美しい音が朗々と鳴り響くのです

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そうしたなか

 『ヴァイオリンの重音の音階(スケール)練習 ~その1~』では

 単音の練習は、一音いちおん音程の[壺]を狙えるように復習い

 重音の練習は、一和音いちわおん[差音]が聴けるように復習うことの必要性を説き

 『ヴァイオリンの重音の音階(スケール)練習 ~その2~』では

 実際の楽曲で、そこで弾く和音の[差音]の総てを音階教本の音形では網羅できず

 音階教本では、一和音いちわおん[差音]を聴くこと自体を練習すると書きました。

その上で

 ヴァイオリンの音程を取る際、単音では[壺]、重音では[差音]に傾聴しますが、

 ヴァイオリンの音程を取る際、前提となるのは“リズム”なのです…と書くと

 ヴァイオリンの“音程”について書いているところに“リズム”という別の話を突然

 持ち出してきたように思われるかもしれません。

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けれどもそうではなく

 ヴァイオリンとしての練習演奏において、いくら[]や[差音]といった

 ヴァイオリンの“音程”に留意しても、音程を取る際に“リズム”が求められなければ

 単音であっても重音であってもヴァイオリン正しい“音程”にはならないのです

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このことは

 このブログの

 『“音程” は “リズム” に属する』の記事で

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 というように“音程”ばかりが表出されるような音の配し方ではなく

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 というように“音程”とともに拍節感により“リズム”も表出され易い

 音の配し方をすることによって正しい音程が導かれ取れると書いています。

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  といった動画で示したイメージや

 『ヴァイオリンの魔法

  イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタと正確な音程の秘密』で掲げた

 拍節の[壺]に向かって正しい音程の響くポイントの[壺]を狙う有様は、

 ちょうど木製のおもちゃの空気鉄砲のレバーを引いて、紐のついたコルクの弾が

 銃口の場所に“スポン”と引戻る様子が、まさに拍節の[]に乗るイメージであり

 銃口の位置に“ピタリ”と嵌まる様子が、まさに音程の[]を狙うイメージです

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そして

 「音程の[壺]」で導かれた音程を「拍節の[壺]」に向かって並べていく際には

 空気鉄砲のレバーを引いてコルクの弾が戻るように“リズム”が求められますが

 ヴァイオリン重音の場合には、それを二丁拳銃ならぬ二丁空気鉄砲のようにする

 必要があるのです

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と掲げると

 単音でなく重音なのだから、一丁でなく二丁なのは当然と捉えるかもしれませんが

 ここにこそ重音練習の際に見落とされがちな重要な点があるのです

それは

 『ヴァイオリンの正しい調弦方法(バイオリンの正しいチューニング)

 でも書いたように

 ヴァイオリンは開放弦(左指で押さえない状態の弦)を完全5度で調弦し

 完全5度の音程の振動の比率が2:3であることから

 3-2 =1は、調弦重音で弾いた2弦の振動の差を意味

 2の半分=1は、調弦重音で弾いた2弦の下の弦の1オクターブ下の音を意味

 2つの開放弦を完全5度に調弦して同時に弾いて

 下の弦の1オクターブ下の音が鳴っていれば

 2つの開放弦が正確に完全5度で調弦できていることになります。

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(上掲で

 下の弦の音の1オクターブ下の音として

 黒い音符の点滅で表示しているのが[差音]です)

そのうえで

 例えば

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重音の場合


 ヴァイオリン重音の音程を定める差音]の観点から

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として[差音]が響くように弾ければ


 重音正しい音程で弾けていると思われるかもしれません。

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重音音程の取り方として


 ひとつには

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の音を


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として開放弦が共鳴するように取った音程に合うように

(以下、ミとソの薄い色の音符の点滅は開放弦の共鳴)


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として音程を取る場合もありますが


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の音を


 私のサイトのScales by Simon Fischerのページでも掲げた

 How to tune each note of the scaleにもあるように

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として取った音程


 すなわち

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としてソの音を基準にして完全4度で音程取る


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としてソの音を基準にして完全5度で音程を取った


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に合うように


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として音程取る場合もあります。


そして

 開放弦の共鳴で取ったミの音程と比べると

 ソの完全4度で取ったドの音程に調和させたドミの重音でのミの音程は少し低くなる

 こと計算上でも確認できますが

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(上掲の計算では

 完全5度 の音程比率が 2:3

 完全8度 の音程比率が 1:2

 完全4度 の音程比率が 3:4

 長 3度 の音程比率が 4:5であることを用いています)

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の音の音程がそれぞれで異なること


 開放弦との共鳴の有無で聴感上でも確認できます。

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(音符の位置を上下させてイメージを表現しています


また

 開放弦の共鳴で取ったミの音程に調和させたドミの重音でのドの音程

 ソの完全4度で取ったドの音程と比べると少し高くなる

 こと計算上でも確認できますが

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(上掲の計算では

 完全5度 の音程比率が 2:3

 完全8度 の音程比率が 1:2

 長 3度 の音程比率が 4:5

 完全4度 の音程比率が 3:4であることを用いています)

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の音の音程がそれぞれで異なること


 響くポイントの[]の差異で聴感上でも識別できます。

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(音符の位置を上下させてイメージを表現しています


ところが

 上記の前者のミを定めてから、それに合うドの音程を取る取り方をすることにより

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という和音の弾き方をしてしまったり


 上記の後者のドを定めてから、それに合うミの音程を取る取り方をすることにより

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という和音の弾き方をしてしまう


 ことがあります。

けれども

 既述のように「音程の[]」で導かれた音程を

 上記のように「拍節の[]」に向かって並べていく際に“リズム”を求めるには

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 という弾き方でなければならないのです

つまり

 2丁の空気鉄砲で上の弾のほうが早く戻ったり

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 2丁の空気鉄砲で下の弾のほうが早く戻ったりするのではなく

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 2丁の空気鉄砲の弾が同時に戻るように

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 2つの和音が同時に弾き始められ同時に鳴るように

 練習演奏されなければならないのです


にもかかわらず

 単音の場合は[]、重音の場合は[差音]により確定された音程を

 「拍節の[]」に向かって配するというヴァイオリン本来音程の取り方

 現在では留意されなくなってきています。

現に

 『[睡眠]とヴァイオリンの練習に必要なものは[量]より[質]!

 でも書いたように

 そうしたことを知らない指導者?は[量]を求める昭和の猛烈ビジネスマンの発想で

 [質]である[音程]などは後回しで、エチュードをとにかく弾き通させるので

 それによって弾けるようになった感じがしても、実際は[]や[差音]といった

 ヴァイオリン本来音程の取り方は学べていないことが殆どなのです

それどころか

 [量]重視の昭和の猛烈ビジネスマン的発想では、身体がボロボロになるように

 [量]重視のヴァイオリンのアプローチでもまた、演奏がボロボロになってしまい

 いい加減にしか弾けなくなり、後からそれを改善しようと思ってみても、それまで

 以上の年月を要するか、最悪の場合もう直せなくなってしまうことさえあるのです

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一方

 『驚きの事実!市中で教えられているヴァイオリンの音程の取り方は

  全く間違っている?!』でも書いたように

 私が知ることが出来た世界的なヴァイオリニスト達の練習方法をみても

 その全員が、どのような時も、どのような曲においても、まずは

 ゆぅ~~~っくりと、一音いちおん弾いて練習

 ユゥ~~~ックリと、一音いちおん確認しながら弾き

 ゆぅ~~~っくりと、一音いちおん「拍節の[壺]」に向かって音を並べつつ

 ユゥ~~~ックリと、一音いちおん「音程の[壺]」を確認しながら弾くという

 拍節においても音程においても常に[壺](つぼ ツボ)を意識し目指し確認

 ながら復習っていた…という記述は、このブログで繰り返し書いています。

(「拍節の[壺]」については

 『一流満倍!? 正しい音程で速く弾けるヴァイオリン演奏

 「音程の[壺]」については

 『ヴァイオリンの「弦の寿命」と「正しい音程」“線香花火音感”の正体

 をご覧ください)

そして

 世界的名奏者の方々のみならず、私たちもそのように復習うことで

 『ヴァイオリン学習者が確実かつ急速に上達する指導を巡る3つの思い』にも

 書いたように、「正しい音程」の「美しい音」で「朗々と響く」ようになるので

 楽器もどんどん、どんどん、よく鳴るようになり

 演奏もどんどん、どんどん、上手に聴こえるようになり

 その結果[上達のワープ]ともいえるような急速な上達につながるのです

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そうしたこともあり

 私の教室には音大生 演奏者 指導者の方へのレッスンというページもあるように

 趣味で習う一般の方から、音大生(音楽大学生)、演奏者(プロ奏者)、

 指導者(ヴァイオリンの先生)までもが、単音の響くポイントの[壺]、

 重音の二音による[差音]を拍節の[壺]に向かい配するという

 [量]ではなく[質]を重視したヴァイオリン本来奏法学びに来ています

特に

 指導者の方々(ヴァイオリン先生方)においては

 人はとかく自分の経験したことを当然だと思い込む傾向が強いうえに

 人はさらに自分の信奉することを絶対だと決め込む傾向が強いことから

 自分が習い信じたことを生徒に教えてしまっていた指導の見直し

 修正の機会になってくれていることは、私としては望外の喜びです

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是非とも

 一人でも多くのヴァイオリン演奏者やヴァイオリン指導者の方々において

 ヴァイオリン本来奏法における「音程の[壺]」と

 ヴァイオリン練習の前提でもある「拍節の[壺]」を学ばれることよって

 ヴァイオリン正しい音程の美しい音で朗々と響かせて欲しいと願うとともに

 それこそがヴァイオリン演奏の醍醐味であることを知って欲しいと願っています

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