ヴァイオリンの左手の奥義:響きを極める運指の極意

名手たちに学ぶ究極のテクニック

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 多くのヴァイオリン奏者が憧れる名手たち。その卓越した表現力は、ギターのような

 フレットがないヴァイオリンで、自分の手で音程をつくり出すという特別な技術

 支えられています。この「完璧なイントネーション」の追求が、初心者だけでなく

 経験豊富な演奏者にとっても大きな目標であり、多くは天才ゆえに成せる技だと考え

 られがちです

 しかし、実際に名手たちが見せる左手運指(フィンガリング)は、単なる天賦の才

 に頼ったものではありません。そこには、緻密なアプローチと明確な目的があり、

 精緻なトレーニングと集中力を積み重ねた結果があるのです

 この記事では、その隠されたテクニックと練習の意図に迫り、左手運指の奥深い

 極意を紐解きます。

 

名教師と名手たちの左手の奥義:運指の核心に迫る

 かつて私も師事し、その系譜は今日でもなお名手を輩出し続けている歴史的名教師の

 鷲見三郎先生と鷲見四郎先生。両先生の元を巣立った名手はもちろんのこと先生

 のもとを訪れた多くの優れた奏者たちは、伝統に基づく確かな技術と豊かな音楽表現

 を体現しています。両先生の教えに加え、過去に実際に教えを仰いだシェリング先生

 をはじめとする世界的名手たちの練習風景から見えたものは、卓越した表現力の背景

 にある緻密な練習過程――そこから学び得た左手運指(フィンガリング)の奥義は

 次の2つの観点に集約されます。

 

 それは「拡張 (extension)」と「独立 (independence)」です

 

 この2つの要素こそが、名手たちの精緻な音程を支え、ヴァイオリン演奏に豊かな

 表現をもたらしているです

 

左手運指の「拡張」と「独立」:その本質に迫る

 左手運指(フィンガリング)の「拡張」というと、多くの学習者や指導者プロ

 方々においても、10度重音やフィンガードオクターブなど、幅の広い音程取る

 技術を想像されるのではないでしょうか。また、運指の「独立」というと、多くの方

 は、技巧ハーモニクスやトリルなどの際の指の動きを思い浮かべるかもしれません。

 しかし、ヴァイオリン運指における本質的な「拡張」と「独立」とは、そのような

 個別の演奏テクニックにおけるものではなく、実際にはより包括的な観点に立つもの

 なのです

 

左手運指における「拡張」とは?

 「拡張」とは、左手の指を広げることで、左指に負荷のかかる動作を指します。

 ヴァイオリン演奏の際、左指を広げなければいけないものとして、負荷のかかり具合

 が低いものから高いものへと順に並べると、以下が主な例として挙げられ、これらを

 直接的に運指の「拡張」と捉えることができます。

軽負荷のテクニック

 ▶下の指を前の弦上で暫時温存しておく(スケールの上昇と同一のケース)

 ▶下の指を次の弦上で予め準備しておく(スケールの下降と同一のケース)

 ▶アルペジオやアルペジオと同一の音において、置いておける指は可能な限り

  置いておく

 ▶完全5度の重音だけでなく、音の進行上、予め或いは戻った際の音の位置関係が

  完全5度の重音相当の場合、完全5度の重音として指を配しつつ他指の運指を行う

 ▶手のひらはファーストポジションの位置を保持した状態で

  1の指や一部の指はハーフポジションの位置運指を行う

 ▶増音程

 ▶ポジション移動で移動先に指をあらかじめ向かせる

中負荷のテクニック

 ▶長3度の重音

 ▶トリル

 ▶トリルの重音

 ▶左手のピチカート

 ▶技巧ハーモニクス(完全4度)(上下の指のそれぞれで異なる押さえ方が必要

 ▶技巧ハーモニクス(完全5度)上下の指のそれぞれで異なる押さえ方が必要

 ▶完全4度の重音で下の音は上方向に、上の音は下方向にビブラートをかける

 ▶完全4度の重音で下の音は下方向に、上の音は上方向にビブラートをかける

 ▶完全5度の重音で下の音は上方向に、上の音は下方向にビブラートをかける

 ▶完全5度の重音で下の音は下方向に、上の音は上方向にビブラートをかける

 ▶二弦以上の重音で指を弦上に置き続ける

高負荷のテクニック

 ▶1と3の長3度の重音の指を指板上においたままで2と4の長3度の重音

 ▶1と3の長3度の重音の指を指板上においたままで2と4の短3度の重音

 ▶短3度の重音

 ▶1と3の短3度の重音の指を指板上においたままで2と4の長3度の重音

 ▶1と3の短3度の重音の指を指板上においたままで2と4の短3度の重音

 ▶左手のピチカートの連続(下降音

 ▶フィンガードオクターブ

 ▶10度重音

 ▶10度重音のフィンガードオクターブ

 ▶10度重音のフィンガードオクターブによるトリル

超高負荷のテクニック

 ▶左手のピチカート同士の音によるトリル

 ▶arcoで音を保持して奏でながら残りの指で左手のピチカート

 ▶arcoで音を保持して奏でながら残りの指で左手のピチカートでトリル

 ▶単音を奏でながら残りの指で技巧ハーモニクス(完全4度)も同時に弾く

 ▶単音を奏でながら残りの指で技巧ハーモニクス(完全5度)も同時に弾く

 ▶重音を奏でながら残りの指で技巧ハーモニクス(完全4度)も同時に弾く

 ▶重音を奏でながら残りの指で技巧ハーモニクス(完全5度)も同時に弾く

 ▶13度の重音

 ▶16度の重音

 ▶17度の重音

 ▶4と3の指によるオクターブの重音に下方に10度重音を加えて同時に弾く

 ▶4と3の指にゆるオクターブの重音に下方に12度の重音を加えて同時に弾く

 ▶フィンガードオクターブでのトリル

 ▶1と3で二弦で同一音を取り、それぞれの音に長2度で2と4でトリル

 ▶1と3で二弦で同一音を取り、それぞれの音に短2度で2と4でトリル

 

左手運指における「独立」とは?

 「独立」とは、他の指の影響を受けずに、指が本来位置に留まることを指します。

 左手の運指では、「拡張」がしばしば高い演奏技術ように捉えられますが、実は

 「拡張」は、単一の指に対する負荷だけではなく左手のその他の指も影響を受け

 複数の指の相互関係から生まれるものです。「拡張」が必要な状況下では、関わる指

 どうしが互いに影響を受けことなく、それぞれの指が本来位置に安定して留まる

 「独立」も同時に求められます。

 このような「拡張」と「独立」の関係性を知り、それぞれの負荷を意識しながら

 「拡張」と「独立」を練習演奏することが、左手運指(フィンガリング)の

 本質なのです

 

「拡張」と「独立」にはストレッチ?

 各指を自在に動かせることを目指し、左手の指の間を広げるストレッチを中心とした

 練習をされている方も多いと思います。一般的には、こうした指の練習よって

 「拡張」と「独立」の技術が向上し、演奏の幅が広がると考えられています

 しかし、世界的な名奏者たちの練習過程において、ストレッチはあくまで結果として

 生まれるものであり、決してそれ自体を目的にはしていません。では、彼らは一体何

 を目指して練習しているのでしょうか? 「拡張」と「独立」はどのように身につけれ

 ばよいのでしょうか?

 

本当の「拡張」と「独立」とは?

 多くのヴァイオリニストが目指す「拡張」と「独立」。その真髄は、名手たちが実際

 に何を意識し、どのように練習していたかにあります。本当の「拡張」と「独立」を

 手に入れるためには、その秘訣を知ること必要です。それは、単なる練習法では

 ありません。一見逆説的に思えるかもしれませんが、本物の「拡張」と「独立」は、

 「拡張」と「独立」そのものから視点を変えた時に結果としてついてくるものなの

 です

 

本当の「拡張」と「独立」からはじまる可能性

 「なるほど、こういうことだったのか!」と本当の「拡張」と「独立」の秘訣を知り

 指が自然と動くようになる感覚を、ぜひ手に入れてみませんか?

 当教室では、オンラインではお伝えできない、名教師直伝の技を直接レッスンで学ぶ

 ことができます。ヴァイオリンから本当響きを引き出すためのアドバイスと実践的

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