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イワモト ヴァイオリン教室のブログへようこそ。
イワモト ヴァイオリン教室では
「正しい音程」 (正確な音程)
「本格的な音色」(美しい音)でヴァイオリンを弾くための
基礎的な演奏技術を大切に指導し
一音いちおん丁寧に
各人の進捗に合わせた課題をレッスンしています。
理由は
鷲見四郎先生がかつてベルリンに留学されていた時に、フルトヴェングラー当時の
ベルリン・フィルのコンサートマスターを務めたハンス・ギーゼラー教授が「日本人
にはこのあご当てが合う」と仰って、自身の楽器から外して渡してくださったという
四郎先生が渡されたのはカール・フレッシュの[真ん中タイプ]のOLDモデルで
あごを左右に乗せ分けられるようにカップの中央手前に隆起が有り使い難いので、
同じ真ん中タイプでも、そのようなカップの中央手前に隆起が無い使い易い形状
としてその後に作られたカール・フレッシュの[真ん中タイプ]のNEWモデルを
探しましたが、タル脚の製品しか当時は見つけられず、金具の重量は増しても楽器を
締め付けない、ヒル脚の製品を探すことにしました。
左:タル脚 右:ヒル脚
とはいえ
まだインターネットの黎明期でネットショップなどは殆どなかったため、図書館で
電話帳をコピーして、何週間もかけて北海道から順番に弦楽器の販売店に電話をして
カール・フレッシュの[真ん中タイプ]のNEWモデルでヒル脚の製品の扱いが有る
お店を訊いたところ、愛知県で見つけることが出来ました。
そして
『「エンカ」でも「擦る」でもないビブラート(ヴィブラート)の練習方法』や
『歴史的名教師が知る 歴史的名教師の指導の秘訣 ヴァイオリンにおける驚異の
上達法』でも書いたように、その門弟には現代最高峰のヴァイオリニストの
フランク・ペーター・ツィンマーマンも居て“オランダのパガニーニ”とも称された
ヘルマン・クレッパース先生が四郎先生の処に来日された際にも、クレッパース先生
の求めに応じて、その愛知県のお店から取り寄せたカール・フレッシュの
[真ん中タイプ]のNewモデルのヒル脚のあご当てを沢山お送りしたことまで
ありました。
カール・フレッシュ[真ん中タイプ]あご当て NEWモデル ヒル脚
ですから
クレッパース先生はそれ以前から[真ん中タイプ]NEWモデルをお勧めでしたが
タル脚でしたので、日本から留学してクレッパース先生に勧められたあご当てが
ヒル脚のカール・フレッシュの[真ん中タイプ]NEWモデルであった場合には
それは実は愛知県から仕入れたものである可能性が高いです(笑)
その後
脚部がタル脚でもなく、ヒル脚でもなく、一本足(ただし表板の接地面は2か所で
裏板の接地面も比較的広く長く、支柱のみ一本足)のSASのあご当てのほうが
同じ[真ん中タイプ]でありながらも、より一層構え心地も、音の響きも良く、
販売されている総ての材質を比較検討しました。
当初は梨木が軽くて明るい響きで良いようにも感じて選択・使用していましたが、
その後は、弾き込むことで楽器が鳴るようになることからメイプル製の製品を、
私の生徒さん方には勧め続けていましたし、後述の理由から一部の生徒さん方には
SASのあご当ては、確かに通常のオーバーテールピース型の製品より軽量ですが、
単に軽量であるから響きが良いということではなく、部品の響きも考慮すべきなのに
更に軽量であるなら響きが良い…と単純に考えたようで、支柱が真鍮からカーボンに
変更になった時点で、それでもオーバーテールピース型の製品より良く響くものの
SASの従来品より、響きがくすみ、音も遠達しにくくなってしまいました。
バイオリン・ビオラ用 あご当て SAS メープル 24mm 支柱カーボン
つまり
SASの梨木の製品がそうであったように、単にカップが軽ければ良いのではなく
SASの支柱をカーボン製にしたのもまた、単に全重量が軽ければ良いのではなく
材質の選択による響きを考慮する必要があることに、SASの製造元は気づいて
いないのです。
ということで
あご当ては、単純に一部が軽量であれば良いというものではない…と痛感した私は
あご当てで、部品の響きも考慮したうえで軽量である製品が前から気になっていて、
改めて調べてみると、形状がさらに軽量になったモデルが販売されていることを知り
早速購入したのが、バイオリン顎当て COMFO REST Model-k でした。
それは
材質において、レッドシダー(米杉)を使っていることから軽量であることに加え
取付において、カーボンではなく、響きも考慮して軽量なチタン製の支柱を用い
形状において、通常のあご当てより圧倒的に奥行が無いので軽量であったものが
COMFO REST normal では左側も均一な高さであるのに対し
COMFO REST Model-kでは左半分の高さが低いことから(赤枠部分)
そして
実際にヴァイオリンに装着して演奏してみると
奏者から1~2mの範囲ではレッドシダー(米杉)によるざらついた音色ですが
奏者から2m以上離れた範囲やホールで聴いた際には、流麗で艶やかな音色が
芳醇な響きとともに満ち溢れる、これ以上ない素晴らしいあご当てであることが
確認できました。
また
『ヴァイオリンの響きを豊かにするハンカチ』でも書いた理由から
あご当てには必ずハンカチを当てて使用しているとはいえ、今後も長く使う際に
この製品はレッドシダー(米杉)を削っただけの状態で汚れが染み込みそうなので
極めて軽量であることから、過度な措置では響きが変わってしまうことを考慮して
・極めて表面にだけヤスリをかけ、木目を潰し(目止め)
・オイルニスを塗ることにより響きが変わることを回避すべく、オイルに
1滴よりも更にさらに少ない極めて僅かな色付けのためだけのニスを含ませ
・それを布で軽く塗るだけの加工により防汚しました。
オリジナルのコンフォレストCOMFO REST Model-k
防汚処理後のコンフォレストCOMFO REST Model-k
COMFO REST Model-k
左:オリジナル 右:防汚処理後
COMFO REST Model-k
左:オリジナル 右:防汚処理後
なお
響きも考慮したうえで軽量である製品が前から気になっていたと既述しましたが、
それはこの製品の[存在]を気に留めていたという意味の「気になっていた」に加え
さらにこの製品の[用法]に関しても、あることについて「気になっていた」という
面もありました。
それは
もう相当昔のことなので詳細は忘れてしまったものの、ヴァイオリンを指導する
番組ということではなく、何かのインタビューかトークのようなTV番組で、
名伯楽として知られた江藤俊哉先生が、話の流れから、ヴァイオリンなど触った
こともない司会者のアナウンサーに対して「ちょっと弾いてみますか?」と仰り
スタジオ中の出演者が「世界的な指導者から手解きを受けられるなんてすごい」と
何しろヴァイオリンなど触ったこともない司会者のアナウンサーは、
おっかなびっくりに構えたために、ヴァイオリンをあごに挟むというより
かつて奏者がポケットに入れて持ち歩いたというポシェットヴァイオリンを
それに対して
江藤先生が「もっとしっかりあごで挟んで」という台詞には納得が行ったのですが
ヴァイオリンを使って首を圧迫するかの如くに喉元にぐいっと押し当てたため
アナウンサーが「先生、ちょっと苦しいんですけれども」と言ったのになおも
喉元に押し当て「そう、これでいいの」と持たせ続けたのです。
ですから
おっかなびっくりで肩に乗せるようにしていたのを矯正するにしても
そこまで喉元に押し当てて構えさせたのは、全く構えたことがない人に対する矯正
という意味でそうしたのかと思いつつも、その後に運弓させてみる際にもそのまま
そこまで喉元に押し当てた状態を維持させていたので、もしかするとそのように
そうしたなか
今回のコンフォレストというあご当ての製造元の工房のサイトを見ると
【使い方】
顎当てを顎骨の奥に行くよう、楽器を喉奥へ持って行きます。
極端に言いますと横板と首がくっつく程奥に構います。
その後に、うまく引っ掛かるよう顎の位置を探してみてください。
https://www.ilconforto.info/comforest
という記述がありました。
そして
このコンフォレストというあご当てに関するネット上の様々な情報において
「あごに引っ掛ける」という記述が多くみられるのは、それは上記の
末尾の1行の「引っ掛ける」という記述に依るのでしょうが、それは[結果]で
その前の行の「横板と首がくっつく程奥に」という記述こそがまさに[初動]として
既述の番組で江藤先生が指導した構え方の考え方と同一であることに気づき、
と同時に
喉元への押し付け具合は、まさか演奏中に飲み食いはしないのであくまで譬えですが
物を飲み込んだり、つばを飲み込むことは出来るとしても、物は食べられない程度に
喉元へ押し付けるように構えて、その状態で脱力して頭部を乗せることにより
ひとつには、自然な脱力により、左手がより一層自由に動かせるとともに
さらに
冒頭既述のように、ハンス・ギーゼラー教授が鷲見四郎先生に言われた「日本人には
このあご当てが合う」という[真ん中タイプ]の構え方ができるあご当てであり、
そのように[真ん中タイプ]の構え方をすると
COMFO REST normal では左右とも均一な高さであるのに対し
COMFO REST Model-kでは左半分で高さが低いことから
その低い部分はより一層軽量で、その低い部分には何も触れないことから共振し
ただし
ひとつには、そのような自然な脱力が出来ない初心者には構えにくいあご当てであり
ひとつには、そのように喉元を多少圧迫するため、それにより気管支の負担となって
咳き込んでしまう生徒さんには使用できないため、そうした生徒さん方には引き続き
ということで
SASのあご当ての脚部が真鍮製からカーボン製になってしまい
SASのあご当ての従来の響きの良さが失われたことがきっかけで
COMFO REST Model-kという素晴らしいあご当てと出会えました。
そして
[量]より[質]!』でも書いたように
ヴァイオリンの[音程]に求められるものは[音高]より[響き]であり、
ヴァイオリンの音程は、総ての音程において[響き]により認識され判別され、
COMFO RESTの製作者の工房に直接買いに行った私の生徒さんによると、製作者は
杉アレルギーであるにもかかわらず徹底した軽量化を追求してレッドシダー(米杉)
を使用して製造し苦労されているそうですが、製作者がそのように徹底した軽量化を
追求していてもなお従来の構造が足枷となっている箇所が私には感じられました。
その箇所の問題については私も解決策を探求し続けていましたが、この素晴らしい
あご当てであるCOMFO REST Model-kと出会えたタイミングで、その問題の解決が
期待される部材が見つかり、それにより響きが更に倍加されたので、それについては
で書きたいと思います。
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