ツィンマーマンに学ぶヴァイオリンの極意
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イワモト ヴァイオリン教室のブログへようこそ。
イワモト ヴァイオリン教室では
「正しい音程」 (正確な音程)
「本格的な音色」(美しい音)でヴァイオリンを弾くための
基礎的な演奏技術を大切に指導し
一音いちおん丁寧に
各人の進捗に合わせた課題をレッスンしています。
かつて私も師事し、その系譜は今日なおヴァイオリンの名手を生み出し続けている
歴史的名教師の鷲見三郎、四郎両先生。その四郎先生のお宅に、当時来日のたびに
訪れては練習をしていたあるヴァイオリニストがいました。彼の名は、フランク・
ペーター・ツィンマーマン。正統派ヴァイオリニストとして高く評価されています
が、正統的であるのは、その演奏だけでなく、練習方法や練習そのものに対する考え
方にも表れていました。彼は、「バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタと
パルティータを弾くために、10歳の頃からイザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタを
一般にヴァイオリンの無伴奏曲というと、バッハ/無伴奏より、イザイ/無伴奏のほ
うがはるかに高度な難曲と思われているようです。しかし、正統派ヴァイオリニスト
であるツィンマーマンが、そのように語っているからというだけではなく、専門的な
観点からみても、イザイ/無伴奏は、バッハ/無伴奏より先に学ぶべき作品といえる
のです。
バッハ/無伴奏よりイザイ/無伴奏を先に学ぶべき理由
イザイ/無伴奏を先に学ぶべき理由は、イザイ/無伴奏が基礎の塊であるからです。
それは、全曲を通して、あらゆる場面で説明することができます。その一例として、
このような譜例が挙げられます。
それぞれの重音の一番下に書かれた音は、[差音]と呼ばれるもので、2つの音を同
時に正しい音程で弾いた時に聴こえる第三の音を指します。重音を弾く際には、どの
重音においても、この[差音]が聴こえるように2つの音を微調整することは、
ヴァイオリン本来の奏法の基本です。[差音]が聴こえるように弾くことで、演奏に
重厚な響きをもたらす効果もあります。そしてこの点にもバッハ/無伴奏よりも先に
イザイ/無伴奏を学ぶべき理由のひとつがあります。
上記の譜例において、何れの重音にも[差音]が書き込まれていることからわかるよ
うに、それぞれの重音はその[差音]によって確定することができ、なおかつそれら
の重音は、メロディーとしての音程との矛盾も少ないものとなっています。また、
イザイ/無伴奏では、単音においても、実はそのほとんどが基本的なヴァイオリン
一方、バッハ/無伴奏では、重音をその[差音]によって定めてしまうと、メロ
ディーとしての音程の矛盾、開放弦の音との矛盾が三つ巴で多数生じることから、
それらを弾きこなすためには[差音]に留まらない、さらに発展させた音程の取り方
の知識が必要となります。
そのようなことから、イザイ/無伴奏はヴァイオリンの基礎であるといえるのです。
ヴァイオリンにおける「守破離」
「守破離」という言葉をご存知でしょうか?もとは、茶道や武道などの修行における
過程を示したもので、師匠から教わった型を徹底的に「守る」第一段階、既存の型を
応用・改良により「破る」第二段階、さらに鍛錬・修業を重ねて型から「離れる」
第三段階があります。
「守」師の教えを確実に身につけ、その後の土台となる基礎・基本を固める段階。
「破」鍛錬と経験を重ね、土台を守りつつも応用・改善をし、心技を発展させる。
「離」独自の新しいものを生み出し確立させる。
イザイ/無伴奏は「守」、バッハ/無伴奏は「破」ということができます。
バッハ/無伴奏を弾くために、イザイ/無伴奏を10歳の頃から復習っていたという
ツィンマーマンの考え方は、まさに正統派ヴァイオリニストと評されるが故の正統的
な考え方であったことがここからもうかがえます。
ツィンマーマンによるイザイ/無伴奏
ツィンマーマンの数々の録音の中でも、イザイ/無伴奏は名盤であるだけではなく、
数あるイザイ/無伴奏の録音のなかでも圧倒的な名盤です。そして生前、何事にも
辛辣かつ辛口な批評をされていた作曲家であり、天才ヴァイオリニストでもあった
玉木宏樹氏にあっても、ツィンマーマンのイザイ/無伴奏の録音を差し上げた際には
手放しの絶賛ぶりであったことは、玉木氏がネット上に遺された日記にも書かれて
います。
https://tamakihiroki.hatenadiary.org/entry/20090707/p3
ツィンマーマンの練習風景に学ぶ
ある来日時のツィンマーマンの練習風景は、曲の冒頭から一音いちおんを何度も確認
するもので、最初の4小節だけで30分近くにも及ぶものでした。その日は、ブラー
ムス/ヴァイオリン協奏曲の第三楽章の練習で、その冒頭はメロディーとしての音程
と、開放弦を含むヴァイオリンの重音としての音程の矛盾を抱えた部分ということは
あるにしても、一音いちおんを徹底的に確認し、一音いちおんを確実なものとして
積み重ねていることがそこから見て取れました。情熱の迸りを受けてもなお、音楽的
にも技術的にも決して崩れることがない演奏スタイルを支える強固な演奏テクニッ
ク。その圧倒的な技術を生み出す秘密は、このような一音いちおんの緻密な練習に
あったのです。
ツィンマーマンの練習風景からもわかるように、ヴァイオリンの音程とは、一音ずつ
しっかりと確認しながら固めていくものです。そして、既述のイザイの譜例のよう
に、ヴァイオリンの音程は物理的な調和と倍音構造の法則に基づいて定まるもので、
恣意的に選べるものではありません。この物理的に定まった音程の選択肢から適切な
音を選ぶことで音楽が自然な響きを持ち、聴衆に深い感動を与えることができます。
反対に、物理法則に背いて音程を恣意的に設定すると、響きが不安定となり、音楽
全体の完成度が損なわれてしまいます。
音程の適切な選択は、演奏者の個性や独自の表現を引き出すための基盤となります。
当教室では、イザイ/無伴奏を基礎教材として使用し、段階を踏んだ的確な指導によ
り、さまざまな場面に対応できる高い演奏技術を無理なく習得いただけます。まずは
ヴァイオリン本来の音程の取り方をはじめとする土台からしっかり固めていただくこ
とで、次の段階であらゆる曲での応用が可能となり、最終段階では、それを自分のも
のとして発展させていくことを目指します。各ステップを着実に踏むことで、揺るぎ
レッスンでは、歴史的名教師の鷲見三郎、四郎両先生に学び、ツィンマーマンの練習
風景から直接知り得たヴァイオリンの極意を惜しみなく提供しています。趣味で学ぶ
方から、ヴァイオリンで世界を目指す方まで、歴史的に確立されたヴァイオリン本来
の指導法により、徹底的にサポートします。本気でヴァイオリンの真髄を学びたい方
の思いに誠心誠意お応えします。
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カテゴリ: 究極のヴァイオリン奏法