ヴァイオリンを鍛える――スケールシステムの効果的練習法

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 イワモト ヴァイオリン教室では
 「正しい音程」 (正確音程
 「本格的な音色」(美しい音)でヴァイオリンを弾くための
 基礎的な演奏技術を大切に指導
 一音いちおん丁寧に
 各人の進捗に合わせた課題をレッスンしています

ヴァイオリン 音階 教本 カール・フレッシュ スケールシステム Carl Flesch Scale System 効果的 練習法 正しい 音程 取り方 差音 多様性 教室 レッスン 演奏 技術 上達

スケールシステムを「練習」してもヴァイオリンは上達しない!?

 ヴァイオリンの上級者向け音階教本として誰もが知る

 Carl Flesch Scale System(『カール・フレッシュ/スケールシステム』)

 音楽大学では入学試験や定期試験で「出題」されるほか、プロの演奏家たちも

 技術を維持し磨き続けるための音階の「確認」として使い続けています。

 

 しかし、実は『スケールシステム』をそのまま弾く「練習」だけでは、

 ヴァイオリンの上達には不十分ということをご存知でしょうか。

 この記事では、『スケールシステム』を使用しているあなたのヴァイオリン演奏を

 効果的に上達させるヒントをお届けします。

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(Carl Fischer Music では、現在はグリーン:Va レッド:Vc 用です

 

スケールシステムを深めるための次のステップ

 『スケールシステム』は、機能和声の観点からシステマティックに構成されている

 いわば音階の一覧のようなものです。「五十音」の一覧表を繰り返し読むだけでは

 日本語をマスターできないように、『スケールシステム』をただ繰り返す「練習」

 だけではヴァイオリンを本当の意味で弾けるようになったとは言えないのです。

 

 音階教本を使って音程を矯正するためには、あらかじめ正しい音程やヴァイオリンの

 音程の取り方のルールなどをわかっている必要があります。しかし、その肝心な音程

 の取り方に関して、『スケールシステム』には明記されていません。

 ヴァイオリンを本当に上達するためには、『スケールシステム』で足りないところを

 学ぶことが必要で、そこにこそヴァイオリンの上達のヒントが隠されているのです。

 

学習効果の最大化――練習方法の工夫と活用

 『スケールシステム』において、不足しているもの。それは、主に次の三点です。

  音階の多様性や明確化 

 差音]の認識 

  基本的な音程の捉え方 

 『スケールシステム』を使用する際は、この足りない部分の内容を補い学びながら

 「練習」することで、技術面での確実な上達が望めます。そのための最適な教材が

 サイモン・フィッシャーの『Scales』と『Double Stops』です。

 

 以下では、それぞれの教本の特徴を比較しながら、具体的な練習方法について

 ご紹介します。

音階の多様性と明確化

 『スケールシステム』は、単音の音階練習の課題の中に旋律的短音階と和声的短音階

 に該当する音形が部分的に含まれてはいますが、種類別には記載されていません。

 『Scales』では、『ヴァイオリンを感じる――アラビア感と名台詞』に掲出の譜例

 のように、各調性ごとに、その調性の音階における旋律的短音階と和声的短音階が

 示されています。

 まずは『Scales』でそうした音階の多様性を理解し、それぞれの音階で把握すべき

 点を分類・整理して明確に認識できるようにしたうえで『スケールシステム』を使用

 すれば、単にそのまま弾くだけではない効果的な「練習」が行えます。

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  (上掲の画像は『Scales』から

   Three-octave scales, arpeggios and chromatic scalesの一部です)

[差音]の認識

 『スケールシステム』では、重音の音階練習の課題は示されていますが、

 重音の2つの音が正しく弾かれた際に響く[差音]についての表示はありません。

 『Double Stops』では、すべての調における3度・6度・10度の音階練習で

 この[差音]が明示されています。

 [差音]は、重音の正しい音程を取るための手掛かりとなるものです。そのため、

 まず『Double Stops』を使用しながら[差音]を聴き取れる耳と[差音]を奏でら

 れる運弓の技術を習得し、そのうえで[差音]を意識しながら『スケールシステム

 に取り組むのが効果的な方法です。

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  (上掲の画像は『Double Stops』から

   C majorにおける3度の重音音程の取り方の譜例の一部で     

   2の譜例に示された黒い音符が、その重音正しい音程で奏でた際に聴こえる[差音

   3の譜例に示されている矢印が、その重音の音程を微調整することを表しています

基本的な音程の捉え方

 ヴァイオリンにおいて、開放弦と同名音では開放弦と完全に同じ、もしくは完全8度

 になる音程とし、完全4度と完全5度の音程は正確確定できることから、それらの

 音程を基に他の音程を構成していくというのが、ヴァイオリンの基本的な音程の取り

 方です。

 『スケールシステム』にはこのような音程の取り方は示されていませんが、

 『Scales』には一覧として掲出されています。

 まずは『Scales』でヴァイオリンの音程の取り方の基本を理解し、正しい音程の

 “響き”を身につけてから、『スケールシステム』でそうした音程の捉え方を実践

 することで、最大の「練習」効果が得られます。

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  (上掲の画像は『Scales』からHow to tune each note of the scaleの一部です)

音階練習の基本アプローチ

 スケールの「練習」の基本は、上りで移弦した瞬間に残りの指を一斉に離さないこと

 下りでは奏でる音の下の音の指も準備しておくこと、アルペジオの「練習」の際は

 置いておける指は可能な限り置いておくことです。

 『Scales』には、これに関連した練習方法が詳細に記載されています。その譜例が

 どのような練習方法の動作を伴うのかを明確に認識しながら行うことで、その後の

 『スケールシステム』の「練習」がいっそう充実したものとなります。

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  (上掲の画像は『Scales』から

   Scales: exercise for overlapping the first and fourth fingersの一部です)

 このように、『スケールシステム』で足りない点を

 『Scales』や『Double Stopsで補うことで、『スケールシステム』の効果を

 最大限に発揮した効果的な「練習」が行えます。まずは、ヴァイオリンの基礎である

 音程について、正しく捉えること。これができれば、あなたのヴァイオリンの演奏

 技術は確実に向上します。

 

 では、『Scales』と『Double Stops』を購入して復習えばそれで十分

 でしょうか?

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正しい音程へ向けての取り組み

 Scales』や『Double Stopsでは、上記の譜例のように、記号等により音程の

 取り方などが示されています。しかし、それを実際に「練習」しようとしたとき、

 具体的にはどのように音程を取ればよいのか、正しい音程はどれなのかわからない

 などと悩んでしまうことがあるかもしれません。

 

 『驚きの事実!市中で教えられているヴァイオリンの音程の取り方は全く間違って

 いる?!』にも書いたように、文字の書き方を知らずに書き続けても、そのうち

 文字が上手になることがないように、音程の取り方を知らずに弾き続けても、

 そのうち音程が改善することはありません。『スケールシステム』で音程を改善

 したいのなら、まずはヴァイオリンの音程の取り方を学ぶ必要があります。

 

音の追求――耳で磨くヴァイオリン響き

 ヴァイオリンの音程は、その“響き”を聴いて取るのが本来の音程の取り方です。

 ヴァイオリンの正しい音程はその“響き”の中に必ず正解があります。ヴァイオリンの

 正しい音程取るためには、ヴァイオリンが発する音の“響き”に耳を傾け、“響き

 の違いを聴き分けること必要です。すなわち、“響き”を正しく捉える耳を鍛える

 ことヴァイオリン正しい音程を取る第一歩なのです

 

 ヴァイオリン音程確認に広く用いられている電子チューナーでは、このような

 ヴァイオリンが発する音の“響き”の中から正しい音程を判別するということができ

 ません。それに、機械的な数値に頼っていると、“響き”を聴き分ける耳がいつまでも

 鍛えられないことにもなってしまいます。

 ヴァイオリンの音程の取り方にも書いたように、音が美しく響く瞬間を「必然」と

 するためには、響きを捉える感覚を磨き、音程や響きに対する鋭い感覚を培うことが

 不可欠です。

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当教室でのさらなる学びの場

 『スケールシステム』は、その不足部分を補ってこそ、本当の威力を発揮します。

 演奏技術の向上や表現力の豊かさを追求したい方に向けて、当教室では、一般の方、

 音大生、演奏者、指導者の方まで、一人ひとりの演奏を専門的立場から分析し、不足

 部分を補う最も効果的な「練習方法を取り入れ、どなたも確実上達しています

 『スケールシステム』をただ繰り返す「練習」では得られない本当上達したい

 をお待ちしています

 

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